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＜へき地の歯科診療１８年＞ 長年にわたり、地域医療や福祉に貢献した医療関係者に贈られる第４３回医療功労賞（読売新聞社主催、厚生労働省、日本テレビ放送網後援、エーザイ協賛）の受賞者が決まった。県内からは新宮診療所の歯科医師、森秀樹さん（６２）（四国中央市）が選ばれた。２月上旬に松山市内で表彰式が行われる。 四国中央市新宮町にある新宮診療所に１８年間勤め、地域の歯科医療に力を尽くしてきた。高地にある新宮町は、冬の積雪など厳しい自然環境の中で、仕事を続ける必要がある。苦労も多いが、「自然に恵まれたこの地域が大好きで、みなさんに支えられて続けてこられました」と謙虚に語る。 新居浜市に生まれた。豊かな自然に憧れ、沖縄県に移住して学習塾の講師をしていた。その頃、伝染病で苦しむ発展途上国に派遣された医師団の仕事ぶりを報道で知り、心を揺さぶられた。 「私もへき地医療に携わりたい」と思い立ち、受験勉強を始めた。３６歳で大阪大歯学部に合格し、夢の実現に一歩を踏み出すことができた。 阪大卒業後は、愛媛大医学部付属病院の歯科口腔こうくう外科で研修医として、歯茎などの手術の技術を磨いた。その頃、上司から当時の新宮村への赴任を打診された。歯科医師を目指した原点は、いつも胸にあった。「喜んで引き受けました」と振り返る。 冬、山間部に１０〜２０センチの積雪があり、路面が凍結してしまう。６５歳以上の高齢者の割合が５割近い過疎地域のため、冬場はお年寄りがなかなか通院できない。雪の残る道を、徒歩で片道約２０分かけて、患者の家に通って診察することもある。 痛んでいた歯や歯茎の治療が終わると、患者は笑顔になる。「うれしそうな顔を見ることが生きがいなんです」と話す。 地元の新宮小中学校の校医も兼務している。約５０人と少人数のため、全員の歯型を手作りし、それぞれに合った歯磨きを指導している。児童や生徒からは「自分の歯型のお陰で、磨き方がよくわかり、磨き残しが少なくなった」と好評で、子供たちの虫歯も減ったという。 地域のお年寄りを親身に診察してきた経験からも、口腔衛生の知識を高齢者や介護者に広める必要があると感じている。「丈夫な歯は健康維持に底知れない効果があるんです」と強調している。2015年01月26日 読売新聞
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愛媛県四国中央市
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