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昨年7月の豪雨災害から10カ月。熊本県球磨村一勝地で全壊した「球磨川歯科医院」は、村唯一の歯医者だった。過疎地での医療を志し、15年前に県外から開業した院長の宮原光春さん(53)は、村内での再開を断念したが、「村民のために診療を続けたい」と、村境に近い人吉市下原田町に移転した。 「もう少し口を開けて。はい、おりこうさん」。真新しい内装の医院で、宮原さんは診察台の女児(6)に優しく声を掛け、口の中をのぞき込んだ。女児は村の自宅が被災し、人吉市内のみなし仮設住宅から通院。母親(34)は「ずっと先生にお世話になっているので安心」と話した。 宮原さんは長野県青木村出身で、実家は同村唯一の歯科医院。九州大歯学部を卒業後、東京や長崎で勤務したが、「患者が不便を強いられている過疎地医療に貢献したい」と志願し、九州の無医村を探した。球磨村に問い合わせると「ぜひ、うちで」と誘われた。山村の風景が故郷と似ているのも気に入り、2006年に開業。村が球磨川左岸に医院を建て、無償で貸与した。 これまで人吉市内に通っていた村内の高齢者らが来院。宮原さんは、村内や隣接する芦北町の山間部への往診も意欲的にこなした。 開業15年目の昨年7月、医院は球磨川の濁流に襲われた。泥まみれの診療台やカルテを前に立ちすくむ宮原さん。「何とか、ここで再建できないか」。村に相談したが、水害の危険が残り厳しいと判断され、ほかに適地も見つからなかった。 患者のため一日も早い診療再開を目指していた8月、人吉市下原田町でコンビニの空き店舗を見つけた。医院から約10キロ離れているが、村から続く国道219号沿いの好立地。再建のための補助金を活用し、診療台などの設備を新調。11月に再開し、女性スタッフも豪雨前の2人から3人になった。 移転後は人吉市の患者が増えたが、球磨村から通院を続ける患者も。「村には戻らんとですか」と残念がる一方、「移転先が近くて良かった」と喜ぶ声もある。訪問診療できる範囲は半径16キロと決まっており、往診できなくなった地区もあるが、多くは引き続き往診できた。仮設住宅に往診することもある。 宮原さんの胸の奥には、故郷の青木村で唯一の歯医者を続ける父親(81)の姿がある。「自分も球磨村の人たちのために頑張りたい」と静かに意欲を燃やし、一日も早い村の復興を願い続ける。
とにかく歯を残そうと努力してくださる真摯な対応には頭が下がります。
こちらの院長先生は、東京の大学で研究を重ねられており、入れ歯の調整が抜群にうまいと実感しています。入れ歯以外の治療もかなりレベルが高いと聞いています。
治療法を押し付けるのではなく、分かりやすくいろいろな選択肢を説明してくれました。患者の意見を重視してくれるのがいいと思います。
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